食事や排泄、入浴は3大介護とされ、これらをどのように実行したら利用者の自立を助けることができるのか、本人が心地よい環境で生活できるのかということは、これまでにもたくさん研究されてきました。
確かに食べて栄養をとることも、排泄して不要なものを出すことも、身体を清潔に保つための入浴も健康に生きていくうえで重要です。
しかし、自分自身の24時間365日を振り返ったとき、食べる、トイレに行く、入浴することにどれくらいの時間を割いているかといえば、ほんのわずかという人がほとんどです。
話をしたり、本を読んだり、仕事やショッピングなどに使っている時間のほうが、はるかに長いという人が多数います。
介護が必要になったとはいえ、利用者の暮らしも本来なら同様です。
介護サービスが生活全部をサポートするものだとしたら、3大介護だけではとても足りません。
3大介護というのは、あくまでもポイントサービスのようなもの、つまり、付帯サービスに過ぎないということをホームヘルパーは理解しておく必要があります。
その上で、利用者は何を大切にしているのか、どんな暮らしを望んでいるのかを知ることが重要です。
利用者の暮らしに対する視線やウエイトの置き方が理解できるようになってくると、仕事をするにあたってどんなことに気をつけなければならないかが見えてくるようになります。
加えて、1人の人間として、目の前の利用者をしっかり見ることからスタートすることが大事です。
利用者の背景を知ることは、相手を尊重しようという気持ちを自然に湧き上がらせてくれます。